2023年度 インフラメンテナンス賞の発表

インフラメンテナンス プロジェクト賞

応募いただいたプロジェクトの中から、インフラメンテナンスにより特に地域のインフラの機能維持・向上に顕著な貢献をなし、地域社会の社会・経済・生活の改善に寄与したと認められるプロジェクトを選考し、以下の通り、「インフラメンテナンス プロジェクト賞」として表彰することとした。

①多々羅大橋他2橋耐震補強工事
(プロジェクト主体:本州四国連絡高速道路株式会社、(株)IHIインフラシステム)
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ西瀬戸自動車道路の多々羅大橋、新尾道大橋、大三島橋の長大橋3橋について耐震性能照査に基づく変位制限装置設置等の耐震補強工事を実施し、市民の生活や仕事を支える重要ルートの耐震性能向上に貢献した。
②那覇港(泊ふ頭地区)臨港道路(港湾1号線)(改良)橋梁支承取替工事
(プロジェクト主体:沖縄総合事務局開発建設部、(株)IHIインフラシステム
沖縄の物流基幹道路である那覇港臨海道路の泊大橋における経年劣化と損傷を受けた支承取替に際し、長期にわたるジャッキアップ中の監視体制を構築することで一般交通を供用しながらの施工を完遂するとともに、新支承へ防食塗装を適用することで耐久性向上を実現した。
③ 第一セブ・マクタン橋の健全度調査および緊急補修工事
(プロジェクト主体:(株)オリエンタルコンサルタンツグローバル
フィリピン・メトロセブ地域の主要幹線道路である第一セブ・マクタン橋において、将来的な車線拡幅に向けて健全度調査を実施し、調査で確認された部材亀裂に対する補修工事を支援するとともに、現地技術者に対し点検時の留意点を教育するなど、現地での橋梁維持管理レベルの向上を図った。

④重交通路線における社会的影響を最小化した幅員方向分割工法による大規模リニューアルプロジェクト
(プロジェクト主体:中日本高速道路(株)名古屋支社、(株)大林組・(株)本間組・(株)加藤建設特定建設工事共同企業体
東名阪道名古屋西IC~長島IC間の約12kmに及ぶリニューアルプロジェクトにおいて、本線外での資機材搬出入、二次製品の活用、幅員方向分割工法の採用により通行規制等による社会的影響を最小化しつつ、楊重設備に商用電源を活用することでグリーントランスフォーメーションにも積極的に取り組んだ。

⑤矢板工法トンネルへの全国初のインバート設置工事
(プロジェクト主体:東日本高速道路(株) 新潟支社 長岡管理事務所
北陸自動車道米山トンネルにおいて、矢板工法トンネル区間での変状対策としてインバート設置工事を実施。事前の側壁補強や施工中の監視といった対策により変状を発生させずに5か月の期間内に作業を完遂しつつ、交通管理者と連携して緊急時の対応準備を行うことで利用者への影響を最小限に抑え、高速道路の長期 健全性確保に取り組んだ。
 

インフラメンテナンス チャレンジ賞

応募いただいた取り組みの中から、点検・診断、設計、施工・マネジメント等の個別または組合せ技術を駆使し、特に地域のインフラメンテナンスに寄与したもの、あるいは、創意工夫によりインフラメンテナンスに対する管理者、市民等ステークホルダーの意識の向上が認められた取り組みを選考し、以下の通り、「インフラメンテナンス チャレンジ賞」として表彰することとした。

① 腐食測定機「DrCORR(ドクター・コロ)を用いた完全非破壊による鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食速度推定技術
(取り組み主体者:東京理科大学、独立行政法人港湾空港技術研究所、飛島建設(株)
完全非破壊でコンクリート中の鉄筋腐食の状態を高精度で測定する方法・機器を開発したことで、維持管理にかかる生産性向上、作業環境改善による働き方改革に貢献した。さらには、劣化状況の詳細把握により補修範囲を過不足なく設定することで補修費用低減にも寄与する
② 水中可視化技術の開発と社会実装
(取り組み主体者:いであ(株)
水中3Dスキャナーを活用してインフラ水中部を効率的・高精度に3D計測する技術を開発し、さらに水中ドローンを活用した微細な変状を把握する手法を構築。レーザースキャナー搭載ヘリ型UAVも開発し、陸上から水中部までのシームレスな3D計測技術を確立することで、水中点検の効率化・高精度化に貢献。
③ 海洋および港湾構造物の維持管理に係る技術者の育成と資質の向上による社会貢献
(取り組み主体者 :海洋・港湾構造物維持管理士会
海洋および港湾構造物に係る維持管理技術の研鑽・向上のため、①講演会・現場見学会の開催、②点検技術等普及のための講師派遣、③海洋・港湾構造物維持管理士取得のための受験者支援、④港湾関係機関との連携、を実施し、技術者の育成に貢献した。
④ 腐食した鋼製排水管(エルボ管)の効率的な応急補修技術の開発および実装
(取り組み主体者:首都高速道路(株)、首都高技術(株)、光海陸産業(株)
鋼製エルボ管の腐食損傷に対して高架上からの応急補修を可能にする「インサートノズル」を開発。開発にあたっては止水性だけでなく施工性に関する実作業員の意見を踏まえて構造検討を実施した。本技術により第三者被害の可能性を減少させ、道路管理者や施工者の負担軽減にも貢献。
⑤ AIによる橋梁インフラ点検・診断システムの導入~山口県の市町も含めた取組み~
(取り組み主体者:山口県土木建築部道路整備課、日本工営(株)
小規模橋梁の点検を効率的かつ高度に行うため、橋梁インフラ点検・診断システムを導入。システムは3Dモデル、点検アプリ、AIをクラウド連携させることで、点検者による評価のバラつきを抑制しつつ点検作業時間を削減。本システムは市町にも提供し、山口県内建設産業全体で生産性向上に寄与。

⑥ 苫小牧港独自の点検診断要領の策定等、持続可能な維持管理に向けた工夫
(取り組み主体者:苫小牧港管理組合
点検費用の縮減と適切な維持管理を両立させるためライフサイクルマネジメントに重点を置いた要領を策定し、クラウドサービスを利用した写真の一元管理やドライブレコーダー、ドローンを活用した効率的な点検を実施。本取り組みはガイドライン参考資料にも掲載され他の港湾管理者の課題解決にも貢献。

⑦ 木曽川上流におけるAI画像解析等を活用した河川維持管理の効率化・高度化
(取り組み主体者:(株)オリエンタルコンサルタンツ、(株)スカイマティクス、国土交通省 中部地方整備局 木曽川上流河川事務所
河道維持管理を効率的かつ適正に行うためにクラウドツール(SRiM)を構築し、地表面被覆をAIで分類・定量化し、留意すべき箇所を抽出・アラート表示するとともに、画像管理や2D・3D計測機能を提供。対策判断に資する情報を定量的・効率的に得ることで河川管理者の予防保全に貢献。
⑧ プルーフローリング試験のデジタル化技術「プルフロ・i」の開発
(取り組み主体者:(株)NIPPO
路床・路盤の品質管理のため行われるプルーフローリング試験のデジタル化のため「プルフロ・i」を開発し、路面変形の検出・良否判定を自動で行い、試験結果を地図上でリアルタイム確認できるようにした。これにより試験の省力化を図りつつ、試験結果の個人差解消・安全性向上に貢献。
⑨ 予防保全型メンテナンスの構築を目指したAI舗装点検システムの開発(GLOCAL-EYEZ)
(取り組み主体者:青森県、ニチレキ(株)
車両にスマートフォンを搭載するだけで路面状態を点検・診断を実施できるGLOCAL-EYZを活用し、ポットホールの発生個所を予測する機能を独自に追加するなど、従来の事後保全型の維持管理から予測結果に基づく計画的な予防保全管理の構築に取り組んだ。

 

インフラメンテナンス エキスパート賞

応募いただいた方の中から、インフラメンテナンスに関する極めて優れた技術または技能を有し実務において顕著に活躍している個人を選考し、以下の通り、「インフラメンテナンス エキスパート賞」として表彰することとした。

①江幡 一男(えばた かずお)

②太田 裕之(おおた ひろゆき)
ダムの建設事業推進および維持管理に長年尽力し、直轄ダムの定期検査の担当技術者として技術的諸課題への支援を実施してきた。発刊されたダム管理施設等技術検討Q&Aは直轄ダム管理の現場でバイブルとして活用されているほか、豊富な実務経験に基づく実践的な技術力と長年の行政経験を通じて技術者の育成に貢献してきた。 建設コンサルタントとして道路トンネルを主体に数多くのトンネルの点検・診断・調査・補修設計等のメンテナンス業務に従事し、トンネルのメンテナンスに関わる技術基準類や文献の執筆を通じて技術の普及に携わるとともに、多くの土木技術者の技術力向上に貢献してきた。
③狩野 裕之(かの ひろゆき) ④佐々木 一夫(ささき かずお)
長年、橋梁の維持管理業務に従事し、近畿エリアにおける橋梁診断員のとりまとめ役として円滑に橋梁診断を行う上での課題抽出・解決方法を提案。また、自らも現場に赴いて橋梁の診断を行い、これまでの知識や経験を活かし、道路管理者に対して技術的支援を実施することで、地方自治体の技術者の技術力向上に貢献してきた。   国土交通省の道路技術者として長きにわたってインフラメンテナンスの推進に従事し、地震時の橋梁点検に関する技術支援、地震後対応の参考となる手引きのとりまとめに尽力した。さらには東北地方整備局の出前講座や大学等で講師をつとめ、実務経験と最新の知見を取り入れた技術の伝承と技術者の育成に貢献してきた。
⑤曽田 信雄(そだ のぶお) ⑥仲谷 伸人(なかたに のぶひと)
高速道路の橋梁における設計・維持管理に従事し、凍結防止剤を多く散布する環境下の橋梁の点検・補修における技術開発や、東日本大震災で被災した高架橋の復旧方針立案、早期開通に貢献した。また、産官学連携コンソーシアムを通じて地方自治体の土木技術者に対して技術指導を行い幅広く技術力向上に尽力してきた。 海洋・港湾構造物をはじめとする各種インフラの腐食・防食に関する技術の研究開発および現場への適用を数多く実施し、技術の発展に貢献してきたのみならず、講演や技術文書作成を通じて防食・維持管理技術の普及およびこれらの分野の技術者育成に尽力してきた。
⑦橋爪 昭広(はしづめ あきひろ) ⑧兵頭 武志(ひょうどう たけし)
高速道路の保全および建設に長年従事し、特に東名高速道路の維持管理においては交通安全対策や渋滞対策を実施しその成果は全国で活用されてきた。さらに、道路メンテナンスに関する豊富な実務経験を活かし、受注者を含めた技術力向上、OJTを中心とした若手技術者の育成に尽力してきた。 港湾施設の維持管理技術者として前例にとらわれない研究開発に意欲的に取り組み、港湾の維持管理に関する各種手引きの編纂に従事してきた。さらに港湾施設の維持管理実務技術者講習会の設立を通じて官民の技術者育成に貢献するとともに、港湾施設の点検・補修技術ガイドブックの出版を通じて技術の普及に尽力してきた。
⑨村野 益巳(むらの ますみ) ⑩吉田 高樹(よしだ たかき)
首都高速道路の構造物点検に長年従事し、高度な専門技術が必要である鋼製橋脚や鋼床版における疲労き裂に対する調査・診断および補修方法の立案を行うとともに、職員が自ら調査・診断の現場作業ができるよう指導を行ってきた。さらに鋼床版半自動超音波探傷装置の開発・実装を通じて首都高速道路の疲労対策推進に尽力してきた。 国土交通省の河川技術者として、河川管理施設やダム管理施設等をはじめとするインフラの適切な維持管理・更新を行い、持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けて貢献してきた。また、点検業務における新技術の普及および技術の伝承、人材育成にも積極的に取り組み、河川技術者の技術力向上に尽力してきた。

インフラメンテナンス マイスター賞

応募いただいた方の中から、インフラメンテナンスに関する技術やマネジメント全般において、豊富な実務経験に基づく卓越した総合的かつ指導的能力を有し顕著に活躍している個人を選考し、以下の通り、「インフラメンテナンス マイスター賞」として表彰することとした。

① 市川 篤司(いちかわ あつし) ② 垣尾 徹(かきお とおる)
鉄道鋼構造物の技術者として、設計から維持管理まで幅広く携わり、鉄道構造物等設計標準および鉄道構造物等維持管理標準の制定に尽力するとともに、経年を経た数多くの鋼鉄道橋の調査、診断、対策提案に携わってきた。また、産学プロジェクトに参画し、高性能鋼材や無塗装橋梁に関する研究を推進するとともに、若手技術者の指導・育成にも取り組んでいる。 鉄道の土木技術者として降雨時の運転規制における累積雨量指数の導入、兵庫県南部地震における山陽新幹線の早期復旧、高架橋補修の推進による長寿命化など、維持管理の技術的な核として活躍し、鉄道土木構造物の長寿命化、維持管理の高度化に貢献してきた。また、調査・設計・施工まで一括した業務の実現を目指し、次世代を担う技術者の育成にも注力している。
③ 上東 泰(かみひがし やすし) ④ 坂手 道明(さかて みちあき)
高速道路の設計・施工・保全に一貫して携わり、多くの道路技術者の指導に尽力した。現場で得られた技術や知見を多くの基準類、技術指針類へ反映させることで、橋梁の長寿命化に大きな貢献を果たした。さらにコンクリート診断士の普及に努めたほか、土木学会誌等を通じて技術者マインドの伝承を行っている。   道路技術者として主に高速道路の橋梁建設に関して指導的立場にて技術者を牽引するとともに、経験に基づいて各現場に即した長寿命化の方策を提案することで社会資本の維持に貢献している。また、フランス留学で学んだ床版の防水工に関する研究成果を防水工便覧(日本道路協会)として取りまとめ、防水工に関する基準類の先駆けとなった。
⑤ 桜井 順(さくらい じゅん) ⑥ 佐藤 欽也(さとう きんや)
首都高速道路の構造物の設計・施工から点検・維持管理まで幅広い分野で指導的役割を果たしてきた。中でも、点検技術者資格制度の創設、コンクリート橋の補修に関する技術開発に携わり、維持管理の効率化およびインフラの安全性向上に貢献してきた。また、知識・技術を学協会や大学での活動を通じて社内外に継承することにより、後進の指導・育成に取り組んできた。 線路メンテナンス技術者として、メンテナンス業務の全ての基本となる軌道関係の基準・規程類の策定に取り組むとともに、非接触式軌道検測車の開発、新幹線の高速軌道検測の実現、さらには保線業務のシステム化を通じて線路メンテナンス業務を飛躍的に高度化させたほか、鉄道事業者に対する技術支援や人材育成にも大きく貢献した。
⑦ 七五三野 茂(しめの しげる) ⑧ 長尾 晃(ながお あきら)
高速道路の舗装を中心とした技術開発に携わり、特に高機能舗装導入による舗装の耐久性や排水機能向上に貢献し、技術基準制定に尽力。実践的な経験と知識を一般の技術者および学生に対してセミナーや講演会を通じて伝承するとともに、さらには国際機関の活動を通じて技術普及に貢献した。 プレストレストコンクリートの技術者として、技術開発において大きな成果を上げたほか、コンクリート構造物診断技術協会東北支部を立上げ、支部長として診断技術の基礎確立に貢献してきた。また、建設コンサルタントとして各種検討委員を歴任し、橋梁メンテナンスに関する産官技術者への教育に尽力してきた。
⑨ 野澤 伸一郎(のざわ しんいちろう) ⑩ 樋野 勝巳(ひの かつみ)
鉄道の土木技術者として構造物の維持管理、橋梁やフィルダムの設計・施工に携わり幅広い成果を挙げてきた。また、多数の災害復旧においても指導的立場で早期復旧に貢献したほか、防災計画推進、設備管理データベースの導入により維持管理業務の近代化に尽力した。さらに各種委員会にて経験を発信することで社外の技術水準向上に寄与した。 橋梁補修専門会社の技術者として構造物の維持管理・技術開発に従事し、東北地方のPC橋塩害対策の対応では使用材料の面から技術支援を行った。さらに、橋梁診断アドバイザーとしての活動を継続するとともに、専門誌を通じた技術普及、講演を通じた後進技術者の育成に取り組んできた。
⑪ 真下 英人(ましも ひでと) ⑫ 松村 英樹(まつむら えいき)
土木研究所の研究員として国土交通省や地方公共団体が管理する道路トンネルの建設や維持管理について研究開発や技術指導・基準類策定を行ってきた。卓抜した指導的能力をもとに、全国の道路トンネルの定期点検に用いられている様々な要領・マニュアルや国の基準・指針類の作成について中心的な立場で貢献してきた。 建設コンサルタントとして道路構造物の設計・維持管理に従事し、東北地方のPC橋塩害対策の対応にモニタリングを駆使して貢献した。さらに、橋梁診断アドバイザーとしての技術支援に尽力するとともに、講演を通じて長年培った知見を後進技術者に伝える活動を継続して実施してきた。 
⑬ 森尾 宣紀(もりお のぶき) ⑭ 守分 敦郎(もりわけ あつろう)
長崎市の土木技術者として道路・河川施設の維持管理・整備に従事し、橋梁の長寿命化や舗装性状調査手法の実装、ICTの積極的な活用を推進してきた。また、長崎大学と「公共施設の維持管理に関する覚書」を締結し官学連携事業を本格化させた。また、市職員の技術力向上や関係団体との技術連携などにも取り組み、地域全体での維持管理向上に貢献してきた。 コンクリート構造物の維持管理に関して、桟橋劣化調査・補修マニュアルの作成をはじめとする豊富な実務的・学術的経験を有し、特に電気化学的防食技術を含む延命化技術に関して卓越した指導的能力を発揮し、防食工法の発展・普及および教育に貢献した。 
⑮ 矢島 秀治(やじま しゅうじ) ⑯ 吉川 國夫(よしかわ くにお)
鉄道の土木技術者、特に鋼構造物全般にわたる広く卓越した技術力を発揮し、兵庫県南部地震での復旧、新形式橋梁の開発において指導的立場で卓越した技術力を発揮してきた。また、得られた経験の勘所を後進技術者に伝えるのみならず、技術者のネットワークを通じて他の鉄道会社も含めた技術指導を行い、次世代技術者の育成に尽力してきた。 道守養成講座認定者からなる道守養成ユニットの会を設立し、初代会長として道路の維持管理に関する演習・実習の講師を務め市職員や若手技術者への技術継承に貢献するとともに、長崎市橋梁点検への道守養成ユニットの会が参画できる仕組みをつくり実行に移すなど、長崎県内産官学の連携をもとに創意工夫し取り組んできた。

インフラメンテナンス 優秀論文賞

インフラメンテナンス実践研究論文集は、インフラのメンテナンスを実践した国内外の事例を集め、広く公表、周知することを目的としている。すなわち、メンテナンスの現場で具体的に実践された手法や取り入れられた仕組みに創意工夫がみられ、今後のインフラメンテナンスの技術の進展や実務上の展開が期待される有用な論文を募集した。
また、論文の査読及び表彰論文の選考にあたっては、実践的な内容で実装による効果や将来性の進展が期待できる論文、特色のある内容で将来の進展につながる考察がなされた論文を重視した。
以上のことから、登載される論文は、いずれも社会で取り組まれた実践的な活動内容であり、将来の進展が期待される研究であることから、今回、その実践研究論文の中から、特に優秀と認められる論文を選考し、「優秀論文賞」として表彰することとした。

橋梁の通行規制による道路利用者の社会的損失の計測 (第一著者:大坪 千夏(おおつぼ ちなつ)(石川工業高等専門学校))
5年に一度の点検義務化において,橋梁の補修優先順位付けは地方自治体の課題となっている.この課題を解決するために,橋梁の通行規制による社会的な損失の定量化方法を提案している.非常に時宜を得ており,実践的な応用が期待できる価値の高い論文である.
跨線橋の定期点検における効率化の取組み (第一著者:後藤 幹尚(ごとう みきなお)(大田区都市基盤整備部))
基礎自治体の多くが実施している跨線橋の定期点検において,鉄道会社との協定の組み方,弾力性に富んだ予算措置など,政策面での取組みや今後の展望について示しているため,他の基礎自治体においても参考になる価値の高い論文である.
マルチチャンネル衝撃弾性波法に基づくPC橋梁に作用する合成曲げ応力の非破壊評価手法 (第一著者:内田 慎哉(うちだ しんや)(富山県立大学))
マルチチャンネル衝撃弾性波法を用いた非破壊試験による合成曲げ応力を評価する手法を提案し,実測を行った.時宜を得た価値の高い論文である.
下水道管渠メンテナンス実態の俯瞰的把握-全国自治体の類型化と比較分析- (第一著者:荒川 雄介(あらかわ ゆうすけ)(長崎市 上下水道局))
全国データベースを用いて全国の基礎自治体を6つのグループに類型化し,各グループの特徴を俯瞰的に把握し,改善方法を論じた価値の高い論文である.
塩害環境下における鉄道コンクリート橋梁の維持管理手法の提案 (第一著者:鵜澤 星一(うざわ せいいち)(東日本旅客鉄道株式会社))
塩害対策事例の報告と効果検証がなされ,点検に実装することで課題解決に寄与する価値の高い論文である.
鋼床版デッキプレート・Uリブ溶接部に発生する疲労き裂に対する開口合成PAの適用 (第一著者:平山 繁幸(ひらやま しげゆき)(首都高速道路技術センター 構造技術研究所))
開口合成フェーズドアレイ(PA)を用いた疲労き裂検出技術の論文であり,実践研究として価値の高い論文である.

お問い合わせ

(公社)土木学会 研究事業課  飯野
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E-mail: minoru@jsce.or.jp