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インフラメンテナンスに関する相談はこちらから受け付けております。
それぞれ頂いた質問には土木学会内の有識者が対応いたします。
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Q&A

インフラメンテナンス相談窓口、あるいはインフラメンテナンス市区町村長会議の活動において、自治体職員の方々から頂いたご質問に対する回答を示します。
※質問をクリックすると回答が表示されます。

インフラ健康診断に関する質問

Q.2020年度の健康診断結果を見ると、道路部門はC(要注意)、D(要警戒)で、かつ将来の健康状態も悪化見込という診断結果ですが、水道に関してはC(要注意)で将来の健康状態も現状維持という結果でした。想像していたよりもそこまで悪い状態ではないと感じました。その原因は何だと考えますか。(稲城市)

A.管路更新率の低さを考えると、確かにもっと状態が悪いのではと思われるかもしれません。しかし、インフラの中で「鉄道」「水道」、この2つについては市民から料金を徴収しています。その点でいえば、道路部門や河川部門と比較すると財源の確保という点ではまだ良い方だと考えられます。給水人口が多い大都市ほど健康度が高い傾向にあり、給水規模が小さくなるにつれて健康度が悪化しています。
ちなみに、「新幹線」については橋梁、軌道の状態がA(健全)で、トンネルの状態がB(良好)と高い水準にあります。

Q.市区町村の橋梁損傷度を見ると、北陸の損傷度が赤い(損傷度※が下位25%に属する自治体)ことは想像できましたが、四国が赤いことが意外だと思いました。その理由は何だと考えますか。(稲城市)
※損傷度:定期点検における市町村別の健全性診断結果から、判定区分Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの健全度の違いを点数化し、それぞれの橋梁数を考慮して土木学会で独自に設定した式により算出。

A.アルカリ骨材反応と塩害の重複により北陸地域は特に損傷度が高いと思われてきましたが、このように数値化して評価を行ってみると、単に全般的傾向のみでは説明できない地域もありました。そのような結果が分かったこともこの評価の大きな成果だと思います。反応性骨材分布や自然科学的条件、その他のあらゆる要素を含めて検討する必要があることも示唆していると考えます。

Q.近年、豪雨による水害が激甚化・頻発化しています。今後、気象変動により降雨量及び洪水の発生頻度はさらに増加していくことが予想されています。土木学会では、インフラの健康診断結果を公表していますが、今後降雨量や洪水量が増加していくことに対して、インフラの健康診断結果をどのように解釈していけばよいのか、アドバイス等がありましたらご教授ください。(山形市都市整備部河川整備課)

A.インフラ健康診断小委員会が行っているインフラの健康診断は、経年劣化などの経時的な性能の低下に現在は焦点を当てています。したがって、健康状態が悪くなれば性能が低下し、設計時の想定より安全余裕度は低下します。また、激甚化する自然災害に対しては、更に余裕度が小さくなると思われますので、少なくとも健康状態を維持することが求められます。なお、現在実施しているインフラの健康診断では、例えば、洪水時に生じる動水圧に対して橋梁が十分な保有水平耐力を有しているのか、あるいは、堤防が水害を防ぐのに十分な高さを持っているのかなど、いわゆる体力診断は含めていません。激甚化する自然災害に対しては、健康状態に加えて体力の評価を適切に行うことが求められるとお考えください。

Q.インフラ健康診断の道路部⾨への質問です。施設の健康度は、A〜Eの5段階です。トンネルや橋梁の点検要領では、4段階です。(舗装は3段階)過去のインフラ健康診断を読ませて頂きましたが、インフラ健康診断の基になるデータは道路メンテナンス年報とのことでした。4段階で評価されているものをどのような基準で5段階評価に変更をされているのでしょうか。(個人)

A.「施設の健康度」は、点検要領に基づく判定区分(Ⅰ~Ⅳ)の割合から、管理者ごとに橋梁やトンネルの「損傷度」を土木学会独自の式により算定し、100点満点で評価しております。その結果を基に、専門家の助言や判断を取り入れ、一般の方にも理解しやすいように、通信簿形式の5段階で評価しております。

Q.インフラ健康診断では、道路管理者にアンケート調査を⾏っているとのことですが、どのようなアンケート調査なのでしょうか︖調査表のフォーマットなどの公表は⾏っているのでしょうか︖公表されていないのでしたら可能な範囲で結構で御座いますのでお教え頂けますでしょうか。(個人)

A.道路管理者へのアンケート調査は、2024年版作成時には実施しておりません。なお、前回2020年版の作成時には、「路面(舗装)」は公表されている点検データが十分ではなかったため、道路管理者へのアンケート調査により点検結果等のデータを確認しました。

Q.施設の維持管理体制についてですが、3段階評価に分類する基準はどのように決めているのでしょうか︖維持補修の予算額や技術職員の⼈数が基準になるんだろうと予想するのですが、規定された基準が御座いましたら教えて頂けますでしょうか。(個人)

A.維持管理体制は、情報管理(データの保存、情報公開等)と運営体制(計画的な点検実施、補修実施状況、個別施設計画の策定状況等)の状況を参考に評価しています。特定の基準を設けることはせず、これらの状況に関して集められた情報をもとに、専門家が総合的に勘案して評価を行っています。

市民協働に関する質問

Q.福島県平田村で行われているような橋のセルフメンテナンスを導入する際、橋の清掃を行う際の道具がない市民が多いのではと感じますが、どのように実施したら良いのでしょうか。(稲城市)

A.平田村の各家庭に農作業で使う様々な道具があるため、特に村から資材を提供せずとも清掃活動を行うことができています。一方で平田村でも、道づくりについては、役場が地域に資材を提供し、住民は労働力を提供する形で行われています。同様に、道路のごみ拾いや草刈り等を行う際に併せて、市から清掃活動に必要な道具を貸し出し、市民が簡易点検や清掃を実施する、というスキームで実施できるのではないでしょうか。

Q.住民との協働による橋の維持管理について、住民の関心度や参加率の実態はいかがでしょうか。また、福島県平田村のような取組みを実現に向けるためには、どのようなプロセスが必要になっていくのでしょうか。(山形市都市整備部道路整備課)

住民との協働による橋の維持管理(橋の歯磨き)は,この活動を聞きつけた自治体や地元企業などからの要望に対し,日本大学工学部の岩城一郎教授、浅野和香奈客員研究員が協力する形で進められています.そのため,おのずと住民の関心度は高く,参加率も高いです.この活動に興味がある方はお気軽に,以下のホームページからお問い合わせいただければと存じます.http://bridge-maintenance.net/

自治体の地域性を踏まえた質問

Q.河川に架かる橋梁の修繕工事においては、渇水期に限定される場合が多いですが、東北地方では渇水期に降雪があるため、より効率が悪い状況にあります。東北地方で損傷度が大きい市町村が多いことの要因にも関係するのではないかと思います。出水期における施工が可能となるような、河川管理者への働きかけや新技術などに関する情報をお持ちであればご教授ください。(山形市都市整備部道路整備課)

A.基本的には、通年で施工する無理のない計画を立て、冬場(非出水期)で可能な作業、出水期で可能な作業に分けて計画し、河川管理者と調整すべきと考えます。例えば、橋梁上部工と下部工に分けて、修繕のための仮設及び修繕作業のスケジュールを考えることが重要です。また、積雪寒冷地においては、積雪に伴う除雪作業も十分考慮した柔軟な体制と作業手順・内容の検討を事前に考えておくことも必要です。その上で、維持修繕の施工計画の立案、準備及び工事着手のタイミングが重要で、発注者として発注手続きの時間的余裕と時期の精査が必要です。また、過去の工事や近隣地区における修繕工事の新技術の活用を含め工夫事例を調査するも大切です。

Q.山形市の蔵王温泉は全国的に見ても酸性が強いと言われています。以前、蔵王温泉地内で工事を行った際に、耐酸対策として、耐酸シートや耐酸モルタル等を駆使して施工した経験があるのですが、対策の検討に苦慮しました。温泉地等での耐酸対策への実情や新技術・新製品等がありましたらご教示ください。(山形市まちづくり政策部公園緑地課)

A.酸によるコンクリートの浸食作用が厳しい環境下においては、コンクリートの表面を保護するための工法を採用する必要があります。工法としては、塗布型ライニング工法、シートライニング工法、パネル工法、耐酸モルタル被覆工法などが挙げられます。主材となる表面保護材の品質はもちろんのこと、シートやパネルを用いた工法については、継手や目地の処理が重要となります。また、耐酸モルタルについては、酸の種類によっては期待した性能が発揮されない場合がありますので、作用する酸の種類の把握が重要になります。いずれの工法においても、ピンホールや塗装のむら、表面保護材と母材コンクリートの接着不良、不適切な目地処理や端部処理、初期ひび割れといった初期の不具合が表面保護の品質に直結しますので、適切な施工管理が求められます。